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「ちょっとフリージアさん、その葉っぱを少し上にあげてもらってもいいかしら?」
「あらチューリップさん、私の葉っぱ伸びてきちゃっておじゃまだったかしら。」
「よいしょ。」とチューリップさんは葉っぱを動かしながら、
「この間まで寒くてなかなか葉っぱが大きくならなかったのに、このところの暖かさといったら天国だわ。」とつぶやきました。
そんなやり取りをしているフリージアさんとチューリップさんの間に、一匹のハチがやってきました。
ブーン! と勢いよくやってきて、
「毎度ごひいきに預かっておりますハチでございます。今日もよろしくお願いいたします。」と言いながら、ズンズンとチューリップさんの顔の近くによって行きました。
「ハチさんこんにちは、今日はほどほどにお願いしますね。」とチューリップさんはくすぐったそうに返事をします。
蜜をすい花粉をいっぱいに持ったハチさんは、満足して帰っていきました。
「毎度ありがとうございました。またよろしくお願いいたします。」
ふ~っ!とため息をつきながら、
「助け合いは大切ですからね。」とチューリップさんが言います。
「それでも、たくさん蜜を吸われると花にシワがよりますでしょう?.」
とフリージアさんに言われ、
チューリップさんは、
「そうねぇ、だけどいい球根を作るためにはハチさんのおてつだいが必要なのよ。」
と言い、それを聞いたフリージアさんは、
「じゃあ、私もお願いしなくちゃいけないわ。」と笑いながら言いました。
そんな会話をしながら、うららかな春の日は過ぎていきました。
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