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6月、梅雨の時期です
田んぼが広がるのどかな田舎町では、雨の音と共にカエルたちの歌が聞こえてきます
ケロケロ ケロケロ
ゲコゲコ ゲコゲコ
ぐぉーっ ぐぉーっ
人間からは同じ種類のカエルならみんな同じに聞こえますが、カエルたちにはそれぞれちゃんと個性を聞き分けます
例えば同じアマガエルでも高音で鳴くアマガエルもいれば、少し低めに鳴くアマガエルもいます
中にはちょっと音の外れたアマガエルだっているのです
人間にも歌姫がいるように、カエルたちにも歌姫と呼ばれるカエルがいます
ウシガエルのルエカはウシガエルの中でも1番の美声で、彼女の歌声はカエルの種類を飛び越えるほどの人気ぶりです
「ゲコゲコ♪ ゲロゲロゲロゲーロ♪ ぐぉーっ ぶぉーっ♪」
ルエカが歌えばカエルたちは拍手喝采
そして求婚の嵐です
「ルエカ様、どうか僕と結婚してください」
「ルエカさん、あなたのために歌います。聴いてください」
「ルエカー!どうか俺のためにもう一度歌ってくれー!」
ルエカはそんなオスガエルたちに微笑むと、じいやに言いました
「ねぇ、見て!今日も私は人気者よ」
「ルエカ様、確かに今日もあなた様は人気者でございます。しかしいつまでも続くとは限りません」
じいやはルエカを心配して言いました
「もう、またお説教なんだから!じいやにはうんざりよ!」
すっかり機嫌を悪くしてしまったルエカは、田んぼの中に飛び込んでしまいました
「はぁ……、あのままではルエカ様はきっと大変な事に……」
じいやはルエカの勝気な性格のせいで、なにか良くないことが起きるのではないかと心配になりました
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