雨降りでも

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「ついにやったな」 きょとんとするわたしに、楠さんがにやにやしながら。 「はっ…」 「こいつ、那賀さんに近づきたくて、もの持たないようにしてたの。まあ、時計は会社にあるから聞けないけど。そうそう靴も」 「なんでぺらぺらと…っ!!」 耳まで赤くなって慌てて楠さんを止めようとするも、また滑る。 「ま、頑張れよ」 そう言って手をひらひらさせながら、ジャンプ傘をバサッと開くと、土砂降りの中を颯爽と帰っていった。
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