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会いたくて
雨の音が聞こえて、私はカーテンを開けた。
「あ~、もう。嘘」
最悪、そう思った。
『今日未明、高速道路下り線――にて普通乗用車が――に巻きこまれ……』
何となく耳に入ってきたニュースに、私は八つ当たりするようにチャンネルを変える。
「あ~、もう。今日、雨降るなんて、そんな予報だったかなぁ」
いくつかチャンネルを変えてみたが、天気予報をしている番組はなかった。支度をしているときと正反対に、心は沈む。
しかし、今日は三ヶ月振りに隆弘に会う日だ。折角のデートだ!
気合を入れ直す。
そうだ、天気予報なら、スマホで見ればいい。
「今日の天気は……あれ~? やっぱり、晴れだ。……ここだけ雨なのかなぁ」
ふと、デジタル時計を見るとそろそろ十時。待ち合わせにはまだ余裕がある。でも、もう行こうかな。隆弘がはやく着くかもしれない。車で長距離移動するなら十分、二十分は誤差になる。それに、はやく会いたい。
ゆっくり向かえば間に合うのに、さっさと玄関を出る。すると──。
「あれ?」
外は晴れていた。
──出たタイミングが調度良かったかな?
そう思ったけれど、地面は濡れている形跡がなかった。
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