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 いきなりの彼の行動に驚いた輝流は身を強張らせ、小さく声を上げた。  抗おうとする両手を頭の上に纏め上げ、それをネクタイで縛り上げると、駈は輝流のワイシャツのボタンをすべて外し、ベルトを緩めて前を寛げた。  スラックスまで達していた蜜は、薄っすらとペ二スを透けさせるほど下着をぐしょぐしょにしていた。  その場所を愛おしそうに指先で撫で上げると、満足気に笑みを浮かべる。 「こんなに濡らして……。あの男に触れられて感じたんですか?」 「違う! これは……違うんだっ!」 「何が違うんです? ほら……乳首もこんなに硬く尖らせて、貴方がこんなにいやらしい方だとは思いませんでしたよ」 「駈っ! いい加減にしろっ! 俺は……、ちがっ! あ、あぁっ……!」  ピンクに色づいた輝流の胸の飾りにやんわりと歯を立てた駈は、舌先でねっとりと掬うように舐めた。 「あぁ……やだ。それ……はぁ、あ、あぁ」  頭上にある羽枕を掴み寄せるように、体を伸ばした輝流は鼻にかかった甘い声を上げた。  つとめて触れたことなどないその突起は、今や性感帯の一つとなり輝流を苦しめた。  唾液を纏わりつかせながら舐める駈は上目遣いに輝流を見上げる。  整えられた眉、野性味を帯びた瞳、そして彼から発せられる香りに性欲を高められ、輝流はわずかに残された理性を繋ぎ止めることで必死になっていた。  それを手放してしまったら、主と従者としての関係は壊れる。  しかし、あの品行方正で真面目な駈がどうしてこのような暴挙に出たのか分からずにいた。  野宮家に絶対的な忠誠を誓い、両親からの信頼も厚かった彼。そんな彼が今、輝流を組み敷いている。 「はぁ……や、やだぁ……っ」 「いい香りですよ。これこそ、私が求めていた血……。よくぞ、今日まで発情せずにいてくださいました」 「な、なに、言ってる……んだ! お前……何か、知って……んあっ」 「強気な輝流さまは嫌いではありませんが、今夜だけは淑やかにお願い出来ますか? 私たちの初夜――ですから」 「初夜……って! お前、何を考えているっ」
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