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2021年 七月 少年
加茂建少年は夜行バスで早朝の新宿に着いた。
建少年の目的は決まっている。
父の死の真相を知ることと、復讐。
その二つの中でも、建の心を支配していたのは復讐の方が大きかっただろう。
父加茂健三和歌山県会議員は、和歌山県内の土地を巡るスキャンダルに国会議員が関わっている事を知り、東京へ行くと、殺されてしまった。
建は父の死は「自殺」などではなく、何者かによって「殺害」されたのだと信じて疑わなかった。
単なる少年の妄想的推理や、憶測ではない、健三の遺品を丹念に調べた結果に基づく結果であった。
健三が肌身離さず持っていた電子スケジュール帳は何故か遺品の中に含まれて居なかったが、父の机の中に隠すように置かれていた手書きの手帳には、健三が謎の死を遂げるその後のスケジュールも丹念に書かれていた。
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