2021年  7月 少年

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 都庁を出て高層ビルの隙間にある空を見上げると、黒ずんだ雲で塗りつぶされ、今にも雨が降り出しそうである。  建はよどんだ空を険しい表情で見上げると、ビル風が七月にしては冷えた風が、建の身体を通り抜けていった。  その風に連れられて来たわけでもないだろうが、建の脚は、新宿中央公園に向かった。  大きな公園のほぼ中心部に、こんもりとした芝生の丘がある。その丘の上に立つと都庁を見上げることが出来る。  建は丘から都庁を見上げると、冷たい雨が頬に当たり、やがて霧雨になって街を覆ったころ、建の瞳から涙が溢れていた。 「チクショウ」  少年は、大きく呟いた。 「チクショウ」  二度目は叫びに近い声であった。  自分はなんて無料なんだろう、怒りに突き動かされて東京まできてはみたが、自分に出来ることは何も無いと悟る事だけしか出来ていない自分、それが震えるほど空しくて、腹立たしかった。 「ケッ・・・イヤな匂いがするなぁ」  
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