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そこまで一気に言い終えると、長津田は薄笑いを浮かべながらソファーに深く腰をかけ直し、口を開いた。
「まったく近頃の刑事さんはオカルト動画や都市伝説
を信じて捜査をするのですか?全く荒唐無稽極まりない」
「荒唐無稽な話しでしょうか?長須田先生の著書を幾つか拝読しましたが、先生は古事記に出てくる八咫烏は現地の地理に明るいガイドの集団であり、後に大王となった神武天皇から褒美として土地と官位を与えられ、ある物は自らの祖先を奉る神社を建て、ある物は元々の力を生かし忍者の祖となり伊賀甲賀へと枝分かれしていったとおっしゃておられますよね」
「確かに、そうだが、私の著作には八咫烏は巨大な怪鳥だとは一言もかいていないよ、村上さんといいましたか?君の荒唐無稽な推理には幾つもの大きな矛盾点がある」
そこまで言うと、長津田はおもむろに立ち上がり、まるで講義でもするように、右左に数歩ずつ歩きながら話しを続けだした。
「まず一つ!刀鍛冶天国はカラスの化け物や人間を閉じ込める刀を制作するような特殊能力者などではないし!そもそも、古来刀には霊力が宿ると言われてきたが、実際に人や怪物の魂を封印する能力のある刀などあろうはずがない!」
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