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「ケケッ・・・好きにしな」
伊助はなんの助走も無く、空を舞い、村上と岩田の頭上を飛び越え、展示室の中へ素早く入り込んだ。
村上はそれを追い展示室に入るが、すでに小烏丸が展示してあったガラスケースは打ち破られた後であり、伊助は刀のみで展示していた小烏丸をあたかも柄のある刀のように構えている所であった。
「刀を下ろすんだ!」
村上は忠告を聞くはずも無い相手に、警察官としての性として言葉を吐きかけた。
すると、村上の視界に映る伊助が、フラッシュバックのように一瞬、建少年に変わり伊助に戻りを繰り返しているように見えた。
「怖いんだろ・・・建くん・・・君は何もわるくないんだ、無理をしないで、そこから出ておいで」
村上は柔らかい表情を作り、小烏丸を構える伊助にジリジリと近づき始めた。
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