空白の彼女

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ふとした時に思い出す静香のクセをまだ覚えていて懐かしくなった。自分ではそんなに気に留めていなかったつもりだけど心は正直なもので自分を好いてくれた人物を無意識のうちに追いかけていたみたいだ。 「それで、あの2人の出会いについてよね。これを話すにはどのみち2人が中学を卒業して接点がなくなってから話さなくちゃいけないから自然と話は長くなるわよ。ちなみに時間は?」 「いくらでも大丈夫。そのために今日ここに来たんだからしっかり話を聞かなければ意味がない。」 その言葉を聞いて高端はフッと顔を崩した。 「・・・そうね。まさか私自身も静香に何度も諦めろと言ってきたこの恋が叶いそうになるなんて思わなかったわよ。」 空になったお互いのティーカップを下げてもらいマスターが新しいコーヒーとさっきNAOKIをギリギリになってしか止められなかったお詫びにと言ってお手製のケーキを出してくれた。 結局は個室に入ってこられなかったんだから気にしないでくださいと言ったのだが高端がいることもあって結局置いていかれた。 いつも高端と静香がこの喫茶店をよく利用してくれるお礼にと言って。 「あの2人が出会ったのはきっと必然なんでしょうね。竹松にこう言うべきではないのでしょうけれど私はそう思うわ…。」 そして高端はゆっくりと俺が知らない静香の時間を話し始めた。 そこには話を聞くまで予想だにしなかった静香の秘密も多く含まれていて愕然したのを覚えてる。
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