side girls

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今回の仕事は内容は違えど2日間連続での仕事だったので今日も昨日と同じスタジオへ向かわなければならない。最初は昨日の失態もあり行く気が完全になくなっており申し訳ないが今日の仕事はキャンセルしようと今朝会社に電話したのだがなぜか先方からも気遣いの電話が入っていたとかなんとかで体調に気をつけるようにとだけ言われお咎めも無しだった。 一緒の会社から派遣されている子にも昨日倒れた現場を見られているせいか「大丈夫?」と何度か声をかけられた。おかしい… なんで一度倒れたくらいでこんなにも周りが心配するのかうまく理解できずにいた私は考え事をしながら廊下を歩いていた。 本来予定していた業務には含まれないが撮影スタッフさんが手いっぱいらしく倉庫に備品の返却を頼まれサービス残業なるものをしていたからだ。終電を気にするにはまだ早い時間だったので二つ返事で了承し台車を押しながらスタッフさんに教えてもらった通りにスタジオ内を歩く。倉庫という文字が見えてきてホッと一息ついたのも束の間、まだ距離はあるが昨日迷惑かけた奏とそのマネージャーが遠目に視界に入った。 本来なら菓子折りでも持ってもう一度丁寧な謝罪に伺うべきところであるんだろうが申し訳ないけど男の人が苦手な静香としては全力で遠慮したい。とゆうか私なんかを視界にすらいれてほしくない。 先ほどより足早に歩きそそくさと倉庫へ入って2人が倉庫の前を通り過ぎるのをじっと待つ。 幸いにも2人は私に気づかなかった様子で今後の仕事の話をしながらすぐに去っていった。ホッと一息ついてから頼まれていた備品を壊さないように倉庫内の棚に戻して行く。仕事を終えて台車を返しに行こうと倉庫を出た時、扉のすぐそばから声をかけられた。 「やっぱり昨日のバイトちゃんだ!今日も仕事だよね?お疲れ様ー」 なぜ今さっき向こうへ歩いていった人物がまだこの場所にいるのだろうか。そしてなぜこんなにも気軽に一般人でバイトの私に話しかけているのだろうか… 「なっ!な、ななな…」 「昨日は急に帰るからびっくりしたんだよー?頭打ってたかもしれないからあのまま病院に連れていって君の家までちゃーんと送るつもりでいたのにさっさと帰っちゃうんだもん。 」 奏さんは私の腕をがっちり掴むとニコニコ笑いながらグイグイ腕を引っ張ってどこかへ連れて行こうとする。芸能人じゃ無かったらこれは絶対犯罪です。誘拐、ダメ絶対! 「あ、あのっ!私まだ仕事があるので…」 脳内ボケをかましている場合ではなくて、なんとなく身の危険を感じて仕事を言い訳にこの場から逃げようと必死に抵抗するが掴まれた手は離れる気配が感じられない。もちろん女の力では男に敵うはずもなく無理に外すことも叶わない。どうしてこうなった…
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