side girls

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なぜこの人は私なんかに好きと言うんだろう? なぜこの人は私に側にいてほしいと言うのだろう? どうして私なんかを好きになったんだろう? かっこよくて背も高くて優しい奏はファンを大切にしているし一緒に仕事をしているスタッフからの評判もいい。 それに業界内には…ううん、世間から見ても下の下の私より綺麗で可愛い子なんて沢山いるはずだ。 それなのに奏はなぜか私を選んだ。最初に告白された時は何かの罰ゲームかと思って思いっきりシカトをし、何も聞かなかったことにしていた。 __________「なんか言いました?私終電があるので帰りますね。お疲れ様でした。」 「いやいやいやいや、ちょっと待って!俺、今告白したんだけど無視ですか?まさかの無視ですか!? 告白してシカトされたのは初めてなんだけどー…」 奏が書いた小説を原作に作られた映画の試写会の帰り道、思っていたより遅くなってしまい急いで帰ろうと思った矢先に伝えられた。聞こえなかったふりをしてシレッと帰ろうとしたら更に腕を掴まれて逃げられなくなった。終電を逃したら帰る方法はタクシーしか無くなるが電車で50分の距離をタクシーなんて高級な乗り物を使って帰ったら一体いくらかかることになることやら考えただけでも恐ろしい。 「もしかしなくても今全然違うこと考えてるでしょ? あ、もしかして現実逃避ですか?お願いだからヤメテクダサーイ。」 「・・・・・。」 すこし間が空いてやっとこさ出てきた言葉が 「奏さん、今何か言いましたっけ?」だ 私のその言葉を聞いた奏の表情は漫画やアニメなら目を飛び出して書かれるであろうくらいびっくりしていてなぜかほんの少しだけ申し訳なく思う。告白なんてなれない事されたら誰だってああなると思うから許してほしい。 「嘘じゃん…いや、嘘って言ってよ…。まじで聞いてなかったとか悲しみが止まらないから…、いやまじで辛いから…」 「えっと…?」 何か返さなきゃいけないのは分かっているんだけど言葉が出来ない。思考停止する前にさっさと逃げようとしたら再び呆気なく奏の長い腕に捕まってしまった。何故…
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