10years ago

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「しっかし中学の同窓会なのによくみんな集まったよな。来てないのって渡辺とか井上くらいだろ?」 「あいつら会社こそ別だけどかなりブラックなとこに勤めてるらしくて多分今も仕事してるってさ。 一応顔見知りだから上手いこと転職とか出来たらいいのになー。」 昔の記憶を引っ張り出して二人の顔を頭の中に思い浮かべる。確かパソコンが得意な奴らだったような… そこまで考えたところで入口の方からきゃー!っと声が聞こえ全員が振り向く。 「あれ、誰だ?」 「あんな奴いたっけ?」 扉の方には(化粧と髪型のせいもあり)見覚えのない女性2人が中にいた他の女性達と抱き合っている。 女ってすぐに大声出したりハグしたりするもんな。 「なぁ…あれってもしかして高端と富松じゃね?」 「はぁ!?まじ!!」 大輝が呟いた言葉に司が大きな声で反応したせいで扉の近くにいたグループと目が合う。 「・・・富松。」 因縁のある彼女とはバッチリ目があってしまい逸らそうとするもなぜか優しく微笑まれて拍子抜けする。 「まじかよ…。高端とか学生の時は柔道一筋ーって感じで全然女っぽくなくって寧ろ男っぽかった奴だよな?あんなに痩せて綺麗になるとは。」 高端 絵梨と富松 静香。大きな接点があったわけではないけれど小学校の3年生から中学を卒業するまで何気なくずっと同じクラスだった2人。 高端とは特に何かあった関係ではない。けれど、富松は… 「昔自分を好きだった女が綺麗になってて後悔してる?」 そっと大輝が近づいてきて俺にしか聞こえない声で話しかけてくる。 「・・・いや、そんなことないよ。」 伸ばされた長い髪は流行りの色に染められ、日に焼けて小麦色だった肌は白くなっている。 けれど、高端の隣で笑うあいつの笑顔はあの頃と全く変わっていなかった。 「・・・・・・たな。」 「ん、何か言ったか?」 誰にも聞こえない声で呟いたつもりなのに大輝が聞こえていたのか問いかけてくる。 「何にも言ってないよ?そんなことより将也と祐希から連絡きたか?」 俺にそう言われて携帯を確認している大輝を横目にもう一度2人を見る。 彼女の耳元で華奢なピアスが揺れていた。
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