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怖い、嫌いの裏返し
たくさん隈をつくって身を粉にして働いて得たものは、ふとした時に訪れるどうしようもない虚無感だった。
誰かに気づいて欲しかった、そんな本音に。
支えて欲しかった、今にも壊れてしまいそうなその心を。
本音を言い合える相手とかボロボロになった心を支えてくれる人が欲しいと言って最初に思い浮かべるのは大体の人が友達、親友、彼氏を思い浮かべるだろう。
当時、前の彼氏は何年前だっけ?とゆーレベルで男性から離れていた私に投げかけられる言葉は大半が
「じゃあ彼氏作って彼氏に頼ればいいじゃん!」
の一言に尽きる。
それに返せる返答は
「欲しいけどいらない。」
または
「作りたい、ほしいって言うだけで出来たら苦労しないくらい出会いがない。」
誰かを好きになる、なってくれた、またはそれに準ずるような人が現れてもどこかで一線を引いてしまって元々恋愛に臆病な性格もありきちんとしたお付き合いに発展することは稀だった。
ううん、違う。ほぼ無かった。
だけどそれは相手がどうこうではなくて私自身の問題が大きくて、相手もそれに答えられるだけの懐の大きさを持っていなかったことが原因だろう。
ずっと心の片隅に消えない人がいて、その人から最後に言われたその言葉が大人になってからもずっと突き刺さったままだった。
だから好意を持って接してくれる相手に対してもどこかで怯えて、自己評価も低くて、なんでこんな私と一緒いてくれるのか本気でわからなくて、
相手も自分自身も傷つけて終わった。
*****
キャリーケースをゴロゴロと引きずりながら新幹線に揺られること2時間。たどり着いたのは日本の首都、東京。この場所のどこかに君がいる。
最後の悪あがきの時間だ。
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