選んだわけじゃない

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久しぶりにとれた連休だ。あの日以来静香とゆっくり話すことは出来てもまだ恋人らしいことなんて何もできていないと思った奏はヤマさんの許可を得てテーマパークの宿泊付きパスポートを取ったのだ。先ほど届いたそれを開封し、意気揚々とデートに誘ったところ返ってきたのがさっきの言葉である。 「仕事は?」 「明日から連休がもらえまして…」 「なんでそれがあたしとのデートの時間に化けるの?」 「いやそれは、ほら……、えぇぇ~、、、」 なんとなく天然なのか鈍感なのか微妙に思うところはあったけどここで発揮されるとは思わなかった。まさか俺からの告白を受けてくれたと思っていたのに恋人認定されてなかったとはっ!!! ここで泣かずにいつ泣けというんだ。あ、涙で視界が霞そうだよ。泣かないけど。 泣き真似をしながら静香をチラッと見たら首を傾げて何故俺がデートに誘ったのかまるで理解していない!俺、一応イケメンに分類されてる俳優でもあるはずななんだけどなぁ~、好きな子にだけ自分の気持ちがうまく伝わらないとかよく聞くよね~、あるあるー! はぁ、まじで涙出てきそうになってくるわ。 一人で一通りの百面相を終えてハウスキーパーの製造を再開させようとする静香をひとまずソファに座らせた。いつもみたいに掃除中に話を続けるよりも大事なことなのでちゃんと聞いてほしい。 「前に俺が静香に気持ちを伝えたのは覚えてる?」 まずここから話して理解してもらわないとデートでお泊り?なんてこの子の性格からして了承してもらえるわけがない。絶対。断言できる。 「・・・何かあったっけ?」 ほんの少し間をおいてもう一度静香は首を傾げた。その反応でやっぱり理解してない!って最初は思ったけどたぶんそうじゃない。 「あったよ。俺、静香に告白して今まで付き合ってるもんだと思ってたんだけど、違うみたい。」 俺の言葉に静香が大きく目を見開いた。まぁそーゆー反応が妥当だよな、肝心ところで鈍感だもんね。 「うぇっ…、あ、あの…えーっと、、ご、ごめんなさい?」 謝罪まで疑問形になっているあたり本当に理解してなかったんだなー。わー、ほんっとうに泣きたい。 「いや、別にいいよ。もう一回告白するだけだし。」 うろたえる静香にそう吐き捨てて真っ直ぐに見つめた。
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