10years ago

6/13

61人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
喉に何か引っかかるようなモヤモヤとした感情のまま会場に戻ると先ほどの奏とかいうやつの話題で持ちきりだった。 あいにく俺はその人物のことを全くと行っていいほど知らず奥の方で待たせていた司達の方へ向かう。 「あ、やーっと戻ってきたよ。んで?何があったの。なんか急に他にはけてたメンツも戻ってきたかと思ったらざわついてるし聞いても教えてくれないし。」 隼人もまだ戻っておらず将也は面倒を押し付けて逃げたらしい。 「んー…。祐希ってさ、奏ってゆー俳優?作家?みたいな奴知ってる?」 就職してからというもののテレビをほとんど見なくなってしまい世間の流行に疎くなってしまった自分は誰のことなのか全く分からない。 日頃から時期社長としていろんな出来事に目を光らせている祐希なら知ってると思い尋ねたら 「はっ?お前奏のこと知らないとかやばすぎなんだけど。」 真顔でこの言われようである。 *** 奏(そう) 本名不明 年齢非公開(だけど見た目は20代後半くらい) 生年月日は6月生まれということだけ明かしてあるなんとも謎の多い人物。 5年前突如として芸能界に現れた彼は脇役で出演したドラマからイケメンすぎる脇役として人気に火がつきかねてから本人の希望であった執筆業も兼任させてみたところこれまた高評価の嵐。 芸歴はわずかだが今一番話題性と人気を兼ね備えた人物である。 また、一般女性との交際を公言している。 *** 「まじかよ…。」 「テレビ見てないからと言って今じゃ写真見せれば老若男女、子供だって知ってる顔だぜ?それを知らないとかありえないんだけど。」 祐希が見せてくれたw○kiを見て愕然とする。紹介文とともに載せられていたその写真はメガネの有無はあるが間違いなく先ほど富松を連れていった人物で。 「富松の事見たんだろ?どうせおおかた数年ぶりに再会した昔自分の事が大好きで大好きで仕方がなかった女が綺麗になってたから手ぇだしちゃおっかなっ☆てところだろうけど記事と秀の話を聞いた感じじゃ富松が奏の恋人で間違いなさそうだな。」 ところどころ違うけれど祐希の推理は間違っていない。確かにあの時富松を見た瞬間に学生時代、彼女の思いをないがしろにし続けた自分に少し公開した。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加