2・5世帯のなみだ~極刑

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奨は、6月6日に東京から家出をしたあと、助けを求める形で愛媛県西条市で暮らしているおじ・葛田龍彦(たつひこ)が暮らしている家へ逃げてきました。 しかし、龍彦の家はものすごく深刻な事例を抱えていたのでとてもとは言えませんが奨を助ける余力はありませんでした。 数年前に龍彦の妻が脳いっ血で倒れて入院生活を続けていますが、一向に快方に向かっていないことから入院の期間が長期化していたので、退院できる見通しが立たなくなっていました。 それに加えて、龍彦の長男・洲彦(くにひこ・41歳)と長女・南沙子(みさこ・36歳)に結婚相手が今もいないことが深刻な問題となっていました。 しかし、龍彦夫婦は洲彦と南沙子の結婚についてムカンシンになっていたのでありました。 つい数年前までは『洲彦のお嫁さんは神さまが選んでくれるから…南沙子のおむこさんはなーんにもしなくても白馬の王子さまが迎えに来てくださるからなーんにもしなくてもいいかなぁ~』と言いまして神頼みの状態になっていました。 ところが、数年前に龍彦の妻が脳いっ血で倒れてしまった日を境にして龍彦は顔が真っ青になってしまったのでありました。 このままでは大変なことになると危機感を募らせた龍彦は、大急ぎで洲彦と南沙子のお見合いのお願いに回っていました。 しかし、洲彦は『今さら遅いわ…』と言いまして持って来てくださったお見合いをけとばしたあげくに『やーめた…』と言いましてものの3日で投げてしまったのでありました。 南沙子も、先方さんから断られてばかりがつづいていたので極度のノイローゼにおちいってしまったあげくにリタイアしかけていました。 そんな時に奨が都落ちをしてきたので、問題が複雑化してしまったのでありました。 ところ変わりまして、喜多台にあります龍彦の家族が暮らしている家にて… 家の居間には、とし子と奨と奨の母親で龍彦の姉の光喜(みつき)と龍彦がいまして話し合いをしていましたが、とてもとは言えませんが穏やかに話し合いをすることができない状態におちいっていました。 光喜は、奨が大帝大をやめたいと言いだしたので、ものすごいケンマクで怒っていたのでありました。
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