#0 デレィションズ

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あ!しまった! 窓からは綺麗な空が見えた 晴れ……やがった ちくしょうと私は悔しさで歯ぎしりをしながら笑った しかし、迷惑な話だ。予定では降水確率が60%だの 傘を持ってかなきゃ後悔するだの散々話してたじゃないか。馬鹿みたいだ、喜んじゃって…… あ~あ、どっかのカップルはこれじゃ海でイチャイチャしたのち抱き合うんだろうな~ お気楽なもんだね、この私が悩んでるってのにさ。 窓からは相変わらずお気楽に澄み切った空が見える ちらりと、窓から道を見下ろせば脇に浮き輪を抱えた少年だか少女だか分かんない子供が走って行くのが見えた。 多分、プールに行くのだろうな。 私が今日、雨の日になって欲しい理由なんてくうだらないもんで、ただの八つ当たりだった。 「だおっ……」と何となく呟いて見る。壁のポスターの一言だ。 その昔、このポスターを買った人を見かけた事がある。私よりは歳下だった気がする。 問題は…… その人と目を合わせてしまった事だった。 その時、明らかにその人は私に惚れていた。 頬が赤くなり、その場にフリーズしたからだ。 つまり私の判断が間違って無ければ、その人は今でも私の事が好きなんだろう。 困った……非常に困った…… 私にはもう婚約者に近い人物が居るのだ。この人がまた、私にラブで私の事が大好きなのだ。 つまり、ポスターの人を選べば婚約者(に近い人物)を不幸にさせてしまう事になり 婚約者を選べばポスターの人を不幸にさせてしまう 理由になる。 それにしても春は出会いの季節とか誰が言い始めたんだろう。散々だ……
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