第二話【とっとこワンちゃんの家出】

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「……ロロちゃんがいなくなっちゃって、探しても見つからないの」 「ロロちゃんって?」 「ぼくの飼ってるワンちゃん」 「えっ、ワンちゃんが脱走したってこと!?」  少年はうなずいて言い添える。「……おととい」 「おととい!?」  それは大変だ。近くには交通量の多い道路だってある。 「で、で、そのロロちゃんの特徴は?」 「チワワだよ。大きさはこれくらい」  男の子は、ソフトボールくらいの円を両手で作ってみせる。チワワだとしても、かなり小さい。 「毛の色は?」 「茶色だよ。それから、首輪は緑色」 「茶色で緑か……あ、でも、ぼく、一人で探してるの? おうちの人は?」
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