37人が本棚に入れています
本棚に追加
第二話【とっとこワンちゃんの家出】
期末テストを来週に控えた放課後のことだった。
「おい、雛太。どうせ暇してるんだろ。手伝いに来い」
学校の自習室に残って勉強していた雛太は、瞳瑠先輩から電話を受けた。
いわく瞳瑠先輩は今日、西荻窪の中町児童館で『おもちゃドクター』として玩具や、ぬいぐるみ等の修理ボランティアに従事しているらしい。
「あの、僕、いま大事な試験勉強を」
「お前個人の試験勉強と地域の子供たちの為のボランティア活動と、どっちが世の中の役に立つと思っているんだ?」
「でも、どうせ僕が行っても、先輩の小間使いにされるだけでしょ?」
「もし俺が、ガンジーに手助けを頼まれたら、何をさしおいてでも駆けつける」
いやいや、あなたはガンジーじゃないですやん。
そうは思ったが、試験勉強にもちょうど身が入らなくなっていたところだ。
けっきょく中町児童館へと向かうことにしたのだが。
最初のコメントを投稿しよう!