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姿を現し、御門は
「次は自分の元に来ると信じている」御所に引き上げていった。
この出来事以来、姫は月夜には一人で空を見上げるようになった。
翁と媼が理由を聞くと、姫は
「自分が月から地上に降ろされたものだと者」
と明かし、御門の訪問時に無意識に月に
「ここにいたくない」
と助けを求めたためた。
「今月の15日には月から迎えに来る」
と述べた。
姫の幸せだけを願ってきたのにと言う翁に、姫は翁の願った「幸せ」は自分にとって辛かった。
「翁様、媼様の御恩は忘れません。私は二人の期待に応えられなかったことを許してください」
とさめざめと涙した。姫の本心を吐露した。
御門の来訪以来、自らの出自と地上に来た理由、童歌の意味、月に帰ることを思い出した。
このままでは月に帰りたくないと泣き伏した。
姫は媼に、月で以前、地上から戻ってきた天人が、
「本当に待っている者ならすぐにでも帰ってくる」
と言う意味の歌を口ずさみながら涙するのを見た経験を語り、
「今ならその天人の気持ちがわかる、自分も一度帰りたい」
と話す。
媼は、姫を他に知られないようにして、姫が拾われた竹藪のある故郷の山に向かわせた。
ちょうど時同じくして、山に
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