1人が本棚に入れています
本棚に追加
「違いますよ。土方さん、貴方には本を執筆してもらうんです。あとお客さんの前で書いた物語の朗読ショー。ね、楽しそうでしょ?」
「はぁ?」
唖然とした俺の前で、アゼリアは陶然とした顔をした。
「いいですよね、物語。僕ら魚人は、創造性のない生き物でして、創作活動というものが苦手なんです。建物もそうですが、いつも人間が作ったものの再利用ばかりで。人間の図書館なんて娯楽の最上級ですよ。ですが新しい物語を誰も作れないので、僕らは娯楽に飢えている。そこで捕まえた人間たちに色々書いてもらおうということです」
アゼリアはにっこり笑った。
「わかりましたね! じゃ早速書きましょう! まずは原稿用紙10枚の掌編から。さぁビシバシ行きますよー」
そういってアゼリアはルンルンと原稿用紙や机を取りに行ったようだった。
「調教師ってより、編集者じゃねぇか……」
俺の疲れ切ったツッコミは、空気と交じり合ってどこかに消えていったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!