戦争に負けた。無残な負け方だった。

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 しかしよくよく見ればイガグリはカニだった。無数のトゲトゲに覆われたカニ型揚陸艦のようだった。  自分でも何をいっているのかわからない。こんな兵器は聞いたこともなかった。  敵兵も部下たちも開いた口が塞がらないようだった。  カニ型揚陸艦の腹がスライドしてぞろぞろとナニカが出てきた。そいつらもまたトゲトゲの甲殻で覆われた人型の生物だった。  奴は親切にも腰の抜けた敵兵に手を差し伸べると、立たせてやり、何事かささやいたようだった。甲殻じみた口がガチャガチャと開閉する。   しゃべれるのか。  話が付いたのか、奴らはぐるりとこちらと向いた。ぞわりと背筋が凍る。   甲殻類の人間? たちはザッザッと無機質に砂を踏みしめて、俺たちをぐるりと取り囲んだ。  部下たちも異様な雰囲気におびえて、背中合わせに縮こまっている。  奴らのうち一人が口を開いた。 「盟約ニヨリ、キミタチの所有権ハ、我々に移ッタ。我らが海ノ、人間館ニ、ゴ招待シヨウ」  人間館? なんだそれは。  質問は許されなかった。それ以降は一言も発せられず、奴らは無言で距離を詰め、腕をひっつかんできた。抵抗は無意味だった。力が強すぎる。なすすべもなく引き立てられ、イガグリ型揚陸艦に放り込まれた。
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