1人が本棚に入れています
本棚に追加
しかしよくよく見ればイガグリはカニだった。無数のトゲトゲに覆われたカニ型揚陸艦のようだった。
自分でも何をいっているのかわからない。こんな兵器は聞いたこともなかった。
敵兵も部下たちも開いた口が塞がらないようだった。
カニ型揚陸艦の腹がスライドしてぞろぞろとナニカが出てきた。そいつらもまたトゲトゲの甲殻で覆われた人型の生物だった。
奴は親切にも腰の抜けた敵兵に手を差し伸べると、立たせてやり、何事かささやいたようだった。甲殻じみた口がガチャガチャと開閉する。
しゃべれるのか。
話が付いたのか、奴らはぐるりとこちらと向いた。ぞわりと背筋が凍る。
甲殻類の人間? たちはザッザッと無機質に砂を踏みしめて、俺たちをぐるりと取り囲んだ。
部下たちも異様な雰囲気におびえて、背中合わせに縮こまっている。
奴らのうち一人が口を開いた。
「盟約ニヨリ、キミタチの所有権ハ、我々に移ッタ。我らが海ノ、人間館ニ、ゴ招待シヨウ」
人間館? なんだそれは。
質問は許されなかった。それ以降は一言も発せられず、奴らは無言で距離を詰め、腕をひっつかんできた。抵抗は無意味だった。力が強すぎる。なすすべもなく引き立てられ、イガグリ型揚陸艦に放り込まれた。
最初のコメントを投稿しよう!