プロローグ

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非現実的すぎて逆に冷静になる派なんだな、と自分のことをそこで初めて知った。 普通なら有り得ないこの環境下や現状に頭が追いつかなくて言葉も失うだろう。普通なら。 まあ、偶然にも必然にもここにはその有り得ない非現実的なことが起きても仕方がない、というか全然不思議ではないのだ。 それは、ここの世界がそう、つまり異世界だから。 異世界といっても様々な捉え方があるけれど、この世界は能力者が集う場所。 そして、その選ばれし者同士で争いも頻繁に起きてしまう。 能力といっても大抵、物を少し動かすとか動物と心を通わせたりだとか、害になるような大きなものではない。この世界の一般人は。 しかしそれでもごく稀に強力な力を持つ者が現れてしまう。 ただそれだけなら問題は無い。 でも人より優れた能力を持つ者が辿り着くのは、人間であれば欲を持ち優越に浸りたがる。 そして、争いが生まれる。 そういうわけでこの世界には強い力を持つ者、そしてそれをより生かしていける者こそが"強者"。 弱き者は滅んでいく、そういう世界になってしまったのだ。 もちろん、そうさせないようにする組織が存在するのも事実だが、実際自分も詳しくは知らなかったし信じてはなかった。その組織の存在が本当に存在して動いているのかを。 つい最近まで自分がいた世界は全くと言っていいほど普通で平凡で、異世界なんてもの自体都市伝説とかしか思ってなかったから。 でもそれが今、目の前に広がっていて、自分がその組織に入れられたとなれば、信じざるを得ない。 組織とは通称"お掃除屋"。 学校でいう風紀委員みたいなもので、正式にはCapacity Correct Organization、略して"CCO"というらしい。 名前の通り、能力を正す組織であってその組織の全員が選ばれし能力者達。 かの優秀な能力者の中に、異世界とはかけ離れた現実世界で生きてきた自分が何故ここに来ることになったか。 それは自分でもこうだったらいいなとか思った程度で、まさか本当に起こるとは思わなかったのだ。 自分に能力が、芽生えたことを。 そして、自分がこの世界ですべきこと...それはこの組織で能力を悪用する者を能力で制し能力で正すこと。 ただそれだけだった。 コードネーム:マコト 予知能力:物事が起こる前にそれを知ることが出来る力。これから起こる未来を知る力。
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