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ぽたりと俺の顔に何かが落ちた。
雨…か…?
でもすぐに違うのだとわかった。
ぽたりと今度は俺の口元にそれは落ちる。
ドクンッと大きく心臓が脈打つ。
これは……血だ__
「…酷い怪我だ…ほら僕の血をあげる…怖い顔だね…そんなに血を飲むのが嫌かい?」
「余計なことすんな…ッ…俺は…ッ」
「死にたい?でも君が死ぬ必要はないよ…人間を餌と思わない優しい吸血鬼(ヴァンパイア)……」
膝を着き、するりと頬を撫でられる。
混濁する意識の中、視界に映った声の主は今まで俺が見てきた中で一番美しいという言葉が当てはまる男だった。
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