裕ちゃんと私の初めての敗北

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裕とあやめは高校2年生。1年生のインターハイ及び冬の選手権は、太一率いる第四工業にいずれも決勝戦でPK負けであった。しかし、2年生のインターハイ、裕や哲也達ゴールデンエイジの活躍で、太一、大林が守るゴールをこじ開け初の全国大会へ。 順調に勝ち進み、決勝戦で倉本優率いる東北高校と激突。高校初対決裕×優。 「ちょっと夜風にあたってきます。」 先輩マネージャー南ちゃんに断りをいれ、私は部屋を出た。どうも緊張して眠れない。明日は裕ちゃんの久しぶりの全国大会決勝戦。小学六年生の時と同じく倉本くんが相手だ。あの時は太一君のパスから椿が決勝ゴールを決めたけど、今二人はいない。 それに…。当時と私達の位置が違う。今私達は恋人同士だ。恋人の晴れ舞台。緊張しないわけがない。 「あやめ?」 物思いに耽りながら廊下を歩いていたら、私を悩ませる張本人に呼ばれて振り返った。 「どうしたの?」 「ちょっと眠れなくてな。あやめは?」 「…。」私は貴方のせいで眠れないのよ。 のほほんとしている恋人に八つ当たりの抱っこをしてやった。
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