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私は、この凍りつきそうな空気にたえられなくて、必死に心の中で念じた。俺様ナルシストでも、空気くらい読めるだろう。というか読んでくれ。
そんな私の願いが通じたのか、少しの間固まっていた北大路は、震えながら私とサナの顔を見比べ、再び口を開いた。
「よ、よく考えたら司令官が攻めで、幹部が受けだ」
「だよねー」
北大路の答えを聞くと、サナの顔は瞬時に元に戻る。凍りついた空気にも、暖かさが戻った気がした。
そのあと、私たちは何事もなく部室に入ったけれど、北大路は終始緊張状態にあった。きっと、にこやかに趣味の話をしていたサナの豹変ぶりが理解できなかったのだろう。
私も、非オタの北大路にまであんなことを聞いてしまうサナの気持ちはちょっとわからない。でもきっと、同族か否か確かめ、本当に懐に迎え入れるかどうか判断したかったのだろう。
だから私はその夜、北大路にこの世界の真理の一部についてメッセージを送っておいた。
『腐女子にとって攻め受けの解釈違いは、戦争の引き金になる。そして、マッチョでも受けは受け。美少年でも攻めは攻め。見た目は関係ない。攻め受けの意味については、ネットで調べて』と。
それについて北大路からは、『司令官と幹部は、過去に付き合っていたのか……?』の返信が来たから、『サナの中ではね』の返しておいた。
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