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夕焼けに染まる河原へと続く道。
気持ちの良い風が吹いて、それがふっと私のスカートと髪を揺らす。
汗ばんだ肌の上を風が滑っていって心地良い。
ふと脇へ目をやれば、夕陽を受けて川面がキラキラと輝いていて綺麗だ。
そして、目の前にはイケメン。
ああ、何てロマンティックなシチュエーション――この状況でなければ、私はそう思っただろう。
そう。散々な追いかけっこを繰り広げた挙句、双方息も絶え絶えで汗だくになってさえいなければ。
でも……と私は思い直す。
どちらにしたって、私には無縁なのだ。
そんなロマンティックとも、こうしてイケメンに追いかけ回されるという非日常とも。
「何の用? 北大路」
覚悟を決めて、私は目の前の彼の名前を呼んだ。
いくら頭を悩ませたところで、彼に追い回される理由が思い当たらない。どれだけ逃げても追いかけてくるというのなら、なぜ追われているのか、彼が私に何を求めているのかを知ったほうがいいだろうと判断したのだ。
それに何より、疲れた。
足にはそれなりに自信があったけれど、自転車まで使って追いかけられたら、もう追いかけっこはやっていられない。
北大路との追いかけっこは、帰りのホームルームを終えた直後から始まった。
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