07 世界の真理に触れるとき

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「あのさ、キンヤくん。確認したいことがあるんだけど」  部室の前まで来て、戸に手をかけたところでサナがそんなふうに口を開いた。ついに来たか!と私は身構える。 「何だ?」 「あのさ、司令官と敵幹部なんだけど……どっちが攻めでどっちが受けだと思う?」 「せ、攻め? 受け……?」  にこやかな表情を保ちつつも、サナの目はマジだった。まるで信仰に反した者を探す異端審問官の目だ。いや、異端審問官なんて見たことないけれど。  とりあえず、北大路もこれがかなり難しい質問であることはわかったらしい。最近つけつつあるオタ知識から攻め受けの意味を精査し、判断しようとしているようだ。 「えっと……幹部のほうが気が強そうだから攻めで、いつも冷静な司令官が受け、かな」  考え考え、北大路はそう口にした。それを聞いて私は内心「あちゃー」と叫んだし、サナは目をバッキバキに見開いている。  これはマズい状況だ。北大路は知らないから仕方ないけれど、腐女子にとって解釈違いは大問題なのだ。時には、戦争すら起きる。 (北大路、ダメダメ! 言い直して! 逆だよ、逆! 血を見ることになるよ! 言い直して!)     
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