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駅まで歩いた。頑張って歩いた。でももうダメで、スマホ取り出して電話した。
「はなぁぁー!!むかえにきてーー!!!」
あんな綺麗な顔の婚約者がいて、多分スタイルもよさげだったし、女なんか微塵も興味ないけど俺といても結婚なんかできないし、子供だって残せないし、だったら、だったら…………
なんでこんなに泣いてるのか分からなくて、駅前のロータリーでしゃがみこんで花が車ぶっ飛ばして迎えに来るまでずっと泣いてた。男のくせに泣き虫だなって、ジャックも花もばあちゃんもよく言ってたけど、ほんとそうだと思う。俺、すぐ泣く。
「哉!!どうしたの、また泣いてる、誰に何されたの!!花がやり返してくるから!!」
昔と全然変わらない花の言葉だ。花がやり返すって。いつもそう言って、花は俺の事守ってくれるんだ。俺、男なのに。超情けない。
「はなぁぁっ、いつきさんもやっぱり人間なんだあぁっ!人間なんか、花以外みんな、だいっきらいだ!!!」
「え、ちょっと、どういう事?そりゃ人間だけど、花の上司宇宙人とかだったら困るんだけど、は?え?とりあえずお家に帰ろ、ね?」
もう、わんわん泣く俺を車に押し込んで、またぶっ飛ばして家まで帰って、アイスティー飲みながらさっきの話をしたら、さすがの花もプッツンしてしまった。
てっきり、寝取られご馳走様とかライバル出現キタコレとか言われると思ってたのに。
普通にブチギレてなんかまた電話し……ちょ、お前まさか
「もしもし!?花だけど!!!ちょっと!!うちの哉ちゃん泣かせるってどーゆーこと!?」
オーマイガー……。
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