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「星奈、お前もう高3なんだぞ。あと半年もすれば卒業するんだ」
「だから何?」
航の目を見ず、そう答えた星奈の顔を覗き込んだ後、航は
「こっち見て?」
と小さな声で言った。
仕方なく顔を上げた星奈に航を笑顔を向けた。
「俺はずっと高校2年生のままだ。ここが俺の人生の最後の居場所。でも星奈はこれからまた、新しい居場所ができる。そこに俺はいないよ?」
優しく諭すようにそう言った航に星奈は
「いてよ。大学だって一緒に行けば良い。一人暮らし始めたら一緒に暮らせば良い。私たち二人でいて、困ったこと何もないじゃない。一緒にごはんも食べられるよ?」
と感情的に訴えた。
「星奈、それはできないよ」
全く揺るぐ気配のないその一言に星奈は黙り込むしかなかった。
「じゃあ……そっちに行っても良い?」
「言うと思った!」
ようやく絞り出した星奈の言葉に、航は大きく笑った。
しかしその後、表情を変え、星奈の目を見据えると
「ダメに決まってるだろ」
と冷たく言い放った。
「星奈、そういうことなんだよ」
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