君のいる方向

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星奈が最後に航に会った日から半年が経過していた。 「星奈ー!どこ行くの?」 母の声に、 「ちょっと裏山行ってくるー」 と答えると 「またー?気を付けてよー?」 と呆れたような声が聞こえてきた。 裏山の道を歩くと、コンパスはゆらゆらと揺れながらいつもの道を指し占めていた。 山頂に立ち、空を見上げると一面の星空が星奈を出迎えた。 「今日はよく見える」 見上げた空に向かい、ふーと息を吸い、 「高校卒業したよ」 というと、風で草木がさやさやと音を立てた。 「航、また会おうね!」 そう言って掲げたコンパスは、星奈の手の中でくるりと回ると、ピタリと北を指したあと、ゆらゆらと静かに揺れた。
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