君のいる方向

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ラブリーアイスの店内は、キャンペーンの効果もあってか、カップルらしき男女でにぎわっていた。 「すみません!カップルセットください!」 その声の大きさに数人の客がクスクスと笑ったのを見て 「お前……声でかい」 と航は少しだけ耳を赤くして星奈をとがめた。 「皆カップルだもん。気にしてないよ」 そう言うと、星奈は航にアイスの種類を選ばせ、 「限定ストラップまだ間に合いますか?」 と店員に不安混じりの笑顔を向けた。 「えっと……はい。ございますよ」 「良かった!それもください!」 食い気味にそう伝えた星奈の様子に、店員も一瞬戸惑った表情を見せたが、笑顔でストラップを二つ差し出した。 「ありがとうございます」 星奈はストラップを鞄にしまい二人分のアイスを受け取ると、 「そこの公園で食べよう!」 と航を店の外へ連れ出した。
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