君のいる方向

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「はい!」 アイスと一緒にストラップを差し出した星奈に、航は 「ストラップはいらない」 と、ぼそりとつぶやいた。 「えー可愛いのに。お揃いでつけようよ」 「バカ。何でカップルでもないのにお揃いなんだよ。俺はお前を振ってるんだって」 「聞こえなーい」 そう言って、航にストラップを強引に押し付けると、星奈は 「チョコチップ、一口ちょうだい」 とスプーンで航のアイスを一口すくった。 「おいしー」 「そんなに食べると太るぞ」 「航、ちょっとぽっちゃりしてるくらいの方が可愛いって前言ってたでしょ」 「あの時はあの時、今は今だ。というか俺好みに合わせた所で絶対お前とは付き合わない」 「これから気が変わるかもしれないじゃん。今は今、これからはこれから、でしょ?」 勝ち誇ったような顔で笑う星奈を見て、航はため息をついた。 いつになったら諦めてくれるのか。 そんな航の心を見透かすように、星奈は 「私、諦めないよ?」 と言って、アイスを一口、口に含み、幸せそうな笑みを浮かべた。
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