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翌日、星奈が学校に行くと、航は既に席について机に顔を突っ伏して眠っていた。
航の背中にそっと「おはよう」とつぶやき、星奈は一つ前の席に座った。
何度席替えを繰り返しても、星奈の席はいつも航の傍にあった。
星奈としては運が良いことだったが、航は席替えの度いつも小さくため息をついていた。
授業が始まっても、航は相変わらず居眠りを続けていた。
そんな航の様子を気にする人はもうほとんどいなく、例え教室に姿が見えなくても、誰も何も言わなかった。
だけど星奈だけは、いつも航のことを気にかけていた。
朝から感じていた体の不調が、6時限目で急激に星奈の体を襲った。
「だめだ……頭痛い……」
星奈が前に体を倒すと、すかさず先生は星奈に言葉をかけた。
「高井さん、授業中よ。次読んで」
「はい!えっと……」
慌てて立ち上がったものの、ページが分からず戸惑っている星奈の耳に、後ろから
「34ページの6行目」
と航のささやく声が聞こえた。
ちらりとその顔を見た後、星奈はぎこちないながらも教科書を読み上げた。
「はい。いいでしょう」
そう言われた瞬間、ぐらりと体が揺れ、星奈は慌てて机についた手で、ペンケースの中身を床にばらまいてしまった。
「高井さん、大丈夫?」
「ちょっと、立ちくらみが……」
「もしかして、具合悪い?無理せず、保健室に行って?」
少し戸惑ったようにそう言った教師の言葉に従い、星奈は保健室に向かった。
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