第四章 訓練生の一日

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「よし、みんなを助けよう!」 「うん!」 被っていたマントの下で口と鼻を覆い、アルフ達は繭の糸を切ろうと試みた。 「くそ、やっぱり切れない」 「火を近付けてみるのはどうかな?」 さっきまでは怖くて身動きも取れなかったので、松明すら無かった。だが、火は効くような気がする。アルフが火打ち石を取り出すと、 『アルフ、囲まれてるぞ!』 ジェイドが足元で警告してきた。皆を助けることに夢中になっていたが……よく見ると暗がりに光る赤い目が幾つも……。 アルフは咄嗟に剣を抜いた。二人も遅れて剣を抜く。 「いつの間に……」 おそらく、蝶の巣に絡まった身動き取れない獲物を狙うものだろう。近付くにつれ、それは小柄な狼のような獣だと分かった。 「ハイエナだ……」 狩りが物凄く上手く、一度牙を剥いたら喰いちぎるまで離さない。格好の獲物である動けない友人と、まだ未熟なアルフ達では勝負は目に見えていた。 それでも、足元で威嚇の唸りを上げる猟犬達に励まされながら、必死で剣を頼りに立っているが、今にも逃げ出したい。 (ロルフ様は、絶対に逃げない!) そう、自分は狼王のようになるのだ。強くて格好良い、憧れのロルフのように。必死で剣を握りしめたアルフは、勇気を振り絞ってハイエナに斬りかかった。 「たぁああ!」 「アルフ!」 だが、ヒラリとかわされた上にハイエナ達の真っ只中に突っ込んでしまった。ジェイドが必死で牽制してくれているが、もう真っ先に食いつかれるのは間違い無い。 ゴクリ、と飲み込む唾の音がやけに大きく聞こえて、爆発音のように心臓が脈打っている。 獲物に飛びかかる為に深く身を沈める姿を見て、固く目を閉じる。 「ごめん、ジェイド! ジェイドは死なないで、逃げて!」 『アルフ!』
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