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訳が分からずアルフ達は顔を見合わせた。
アルフ達は知らない。確実にアルフの命が散る間際、駆けつけたクラウスはとっさの判断で自身の腕を傷付けた。
ハイエナ達は弱った獲物から仕留める。当然、血の匂いには敏感だ。アルフに集中していたハイエナ達の注意が、血の匂いで一瞬逸れた。
その隙にクラウスの前にフォルクが道を開き、乗り込んだクラウスはアルフを助けたのだった。
「とにかく、こいつらも助けないとな」
カティスは巣に絡め取られた友人の前に立ち、松明でナイフを炙るとするすると糸を断ち切っていく。
「あ、ああやるんだ……」
「そう、クリスタルモルフォの糸は熱に弱い。巣から炙り出すのが一番良いんだけど、火をつけると一瞬で燃え広がるから気を付けろよ」
危うく、身勝手な判断で友達を死なせてしまう所だった。アルフ達は揃って項垂れる。
「あ、あの、全然動かないんですが、大丈夫ですか……」
「大丈夫。クリスタルモルフォの毒は獲物を殺す為じゃない。……生きた餌を作る為なんだ。子供を育てる為にな」
きちんと毒を抜く治療をして、三日も養生すれば元通りだと聞いて、アルフ達はホッとした。
「よし、こんな所に長居は無用だな。クラウス、一人背負えるか?」
「ああ、問題無い」
身動きの取れない友人達を背負おうとするクラウス達に、
「俺たちが運びます!」
これ以上、何も出来ないままでは悔しくて。全員で友達を背負った。
「戻りはキツイぜ? メソメソ泣くんじゃねぇぞ」
優しいクラウスとカティスに比べて、梟使いは意地悪だ。アルフは名前を覚える気もない梟使いの言葉は無視してやった。
蝶を引きつけていてくれたフェルナンド先生とも合流して、黙々と危険なエリアを抜けて野営出来るポイントまで辿り着く。
そこで、ようやく毒で麻痺したままの皆の手当が始まった。
「フォルク、薬草は?」
「そろそろ集まるだろ。お、戻ってきたな」
フォルクとか言うらしい梟使いが指差す先には、一羽の梟と三羽の鳥達。毒に倒れた仲間が逃していた鳥達だ。
「よしよし、お前さん達。ちゃんと頼んでたのが揃ったな。ご苦労さん」
全部違う種類の鳥なのに、フォルクにはわかるらしい。返す返すも生意気なヤツだ。
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