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「残念ながら、修理の痕がまったく分からないようにとなると難しいでしょう。ただ不幸中の幸いで、破損前の写真が残っているのと、折れ取れたパーツも保管しておいて頂けたので、ある程度の復元は可能かと」
「充分よ、それで。人生にはあるもの。長く生きていれば、もうどうしようもなく直せないものっていうのはいくらでも」
気になる物言いだった。だからといって気安く尋ねていい類の話でもないだろう。
「一点確認なんですが」
瞳瑠先輩が人形の台座を手に取った。
「見たところ、この台座部分には」
横向きにすると、裏蓋が見えた。
「オルゴールの機構が内蔵されているようです」
「ええ、そうよ」
「鳴らしてみても?」
「勿論」
そのとき、なぜだろう。若林由紀子の表情が、わずかに変化するのが見てとれた。
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