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俺は夕食を、いつものように、普通に食べた。
彼女はいつものように、今日の昼間になにもなかったかのように、俺に話しかけてきた。
そう、こういうのはこれが初めてではないのだろう。
俺は何の感動もせずに、ごはんを咀嚼し、おかずを噛み砕き、味噌汁を飲み下し、
無邪気に話しかけてくる彼女に、いつものように、うん、とか ああ、とか返事をしながら、
実のところ、ずっと前から、俺はこの女が好きではなかったのだということに気づいた。
彼女がこの部屋にやってきたのは、いつのことだっただろう。
俺はあるがままを受け入れていた気がする。
彼女が、俺に好きだといったとき、俺はなんと答えたのだろう?
俺は、彼女に好きだといったことがあっただろうか。
いや、俺は彼女が一度でも、好きだったことがあるのだろうか?
その日は普通にごはんを食べ、当番の洗いものをし、
彼女はテレビを見、俺は本を読み、
一緒にゲームをしたり、談笑したり、
かわるがわるお風呂に入った。
寝る前に部屋で独りになって、スマホでエロ動画を見ようとして、
検索窓や新着をひとしきり眺めたあと、
何もする気にならず、
寝た。
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