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俺は誰もいないアパートに帰ってきて、 冷蔵庫に食料をつめ終わって、お得パックの洗剤を詰め替えて、 部屋のソファーに座って、部屋を眺めた。 そこの床でヤってたな。 俺はカーテンの外の、いい青空の天気に目を移した。 彼女がいつの間にか買ってきた、観葉植物が窓辺で光合成にいそしんでいる。 俺は、昨夜の晩御飯のツナオムレツ…の材料のツナカンを、ゴミ箱からそっと取り出した。 軽く洗って、拭いて、それから、窓辺の観葉植物の、砂利を手でつかんでツナカンに入れた。 ポケットにライターをいれ、タバコのパッケージを持ち、サンダルを取ってきて、 俺は部屋のベランダに出た。いい天気だ。本当に、いい天気。 室外機の上にツナカンを置いて、俺はタバコに火をつけた。 吸い方は知っている。 飲み会のときに、酔っ払いの友人に何本か吸わされたからだ。 吸いながら火をつける。 肺に入れず、口でふかす。 慣れてないから、これでいい。 3口目から、やっと美味しくなってきた。 これはただの煙で、やはりタバコの味がする。 俺はニコチンの化学式を思い浮かべて、 猿を用いた実験の依存性の論文を思い浮かべて、 肺がんを煩った男性の悔やみの手記を思い浮かべて、     
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