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夜。 彼女は風呂に入っている。 俺はリビングで、彼女が敷いた布団を見ながら、 パソコンデスクの前に座っている。 ついに、俺はそれを決行することにした。 簡単なことだ。ノートパソコンについているウェブカメラ。 これをちょっとのあいだ、起動させておけば良い。あとは画面を録画しておくだけだ。 俺の出かけているあいだ。 なんのその、ほんの10時間ちょっとだ。 …だが、そんなに長い間、我が愛しのパソコンは、起動していてくれるだろうか? 試行錯誤しながら、スリープモードにしたり、スクリーンセーバをオフにしたりしていると、 やはり彼女というものはカンがいいもので、「なにしてるの」と聞いてくる。 実は、インストールに時間のかかるソフトがあってね、と適当なことを言う。 ちょっと上手くいかないんだ、と説明する。ふぅん、と彼女は興味のなさそうに答えた。 恐らく彼女は、俺にことなどまったく考えていないのだろうな、と感じた。 あまり使ったことのない機能だったが、準備は2,3日もたてば整った。 土日、俺は仕事に出かける前に、パソコンを起動したままにしておく。そして、録画ボタンを押しておく。     
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