傘の向こう側

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傘の向こう側

まだ5月だというのに昼間の気温はもう夏日。 朝の早いうちに愛車を隅々まで綺麗にした。 ブルーメタリックの輝いた車体を見て『完璧』と自画自賛。 だが、それから何もすることがない。 ゴールデンウィークに入ったのはいいけれどコレといって予定は何も入っていない。 親友の賢雄(けんゆう)は仕事だし、休みだとしても家族サービスしているだろう。 俺、二岡(におか)勇司(ゆうじ)24歳 この春、叔父が経営する電気会社に転職したフツーのサラリーマン。 高校を卒業してからそれまではカー用品店で働いていたが、上司と馬が合わず辞めてしまった。 しばらく暇を持て余していたら、叔父から「仕事を手伝わんか」と言われ、世話になることにした。 GWが明けたら会社の取引先でもある大手メーカーO電器に5日間、新社会人向けの講習会があり受講することになっている。 GWの後半は姉家族が来て姪っ子の相手をしていたら、あっという間に休みも終わってしまった。
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