傘の向こう側

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俺もカレーの食券を買って、空いてる席に村田さんと向かい合わせに座った。 「俺も彼女欲しいですけどね、出会いがなかなか……」 店員が「いらっしゃいませ~」とお冷やを持ってきて「少々お待ち下さ~い」と食券を持っていった。 「彼女が居るのと居ないのとじゃ、普段のモチベーション違いますよね」 そうかも知れない。 ただ仕事して、家に帰ったら風呂入って飯食って寝るだけ。 そこに彼女との電話やメールのやり取りが入るだけで、その日一日の疲れも吹き飛ぶんだろうな。 「お待たせしました~」 程無くしてカレーが来てスプーンを持ち、手を合わせ一口目を口に運んだ時だった。 「何食べる?」 「何にしようか?」 女性たちの声がして、食券機の方へ何気に目をやった。 一人はふわふわとパーマがかったブラウン系の髪をハーフアップにした細身の長身、もう一人はストレートの黒髪をひっつめスタイルにした小柄な女性。 俺はちょっと気にしながら二口目を口に運んだ。 暫く悩んで食券を買った彼女たちは、俺たちの横の空いている席に座った。
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