傘の向こう側

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ふわふわブラウン女子が俺の横並び、黒髪女子は村田さんの横並び。 チラッと斜め前を見た時に、ふと黒髪と目が合った。 すると元々大きいんだろう瞳をさらに見開き、でもすぐ逸らされブラウンへと顔を向け「外暑かったよね」と会話を始めた。 俺の顔を見て一瞬驚いたような感じだったけど、何なんだ。 俺は頭をひねり気になりつつも、あまり隣は見ずにカレーを口に運ぶ。 「O電器の方ですよね」 俺が顔を上げると、村田さんはスプーンを置いて隣に話しかけていた。 「あ、はい……」と返事をしたのはブラウンの方で、ちょっと訝し気。 「A電業の村田と言います。今、講習会で御社にお世話になっています」 手を膝に置き、頭を下げていた。 O電器の社員? グレーのチェック柄のベストに紺色のスカート。 あぁ、確か女性社員はそんな制服を着ていた。 「あ、あの……二岡と言います。M電設の。お世話になっています」 俺も挨拶しなければと思い、スプーンを置き村田さんに続けて早口で言って頭を下げた。 村田さんより年上なのに全然スマートじゃないな。
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