0人が本棚に入れています
本棚に追加
その日から彼との共同生活が始まった。食事は三回、絶対に同じ時間に同じ場所で食べること。困ったことがあったらすぐにきくこと。掃除は分担すること。初めの日の朝食を一緒にとったとき、すごくふしぎな感覚だった。今まで忘れていたような、懐かしいような、暖かくて幸せと感じた。涙が出そうだった。
一週間が過ぎた頃、私とヒロはとても仲良くなったと思う。
お昼ご飯が終わってからは勉強を教えてもらったり、二人で本を読んだり、お菓子作りをした。
ヒロはすごく優しくて、紳士で、笑顔が素敵で、きっと私は好きになったんじゃないかな。もう少し後に夕食を食べながら聞いてみたんだ。
「ねえ、ヒロ。ヒロってさ、好きな人、いるの?」「うん。いるよ。」
「ねえ、その人って、何処にいるの?私が来てから、ずっと私といてその好きな人の所に行かなくていいの!?」
「あぁ。遠くて近くにいるんだ。」
何を言っているのかわからなかった。でも、ヒロが悲しそうに話しているのが気になって、これ以上続けることができなかった。
それからも、私は二人の時間をめいいっぱい楽しくすごした。
「記憶、戻った?」そうヒロは私をいつも気にかけてくれていた。
「ううん。全然。
最初のコメントを投稿しよう!