海とまどか

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まどかと私は小学校からの幼なじみ。中学受験を経て、今はエスカレート式の高校へ入学した2年生だ。もう10年来の親友だが、まどかと登校できた日は実は半分あるかどうかだ。まどかは幼い頃から体が弱く、通院による遅刻、早退、保健室登校が多かった。 対して、私は昔から男子に混ざって、野球にサッカー、空手に柔道と、体を動かすことがとにかく好きだった。幼い頃は、一緒に遊ぼうよと言って、まどかを無理に外へ連れ出そうとして、母親に叱られたものである。 春野家の朝は騒がしい。 何せ、私を含めて、4人の兄弟が、幼稚園、小中高へと出掛ける準備が一斉に始まるのだ。私は昔から朝練で早起きに慣れているからよいが、他の兄弟は朝が苦手だ。 早く起きなさいの母の一喝が今日も飛んでいる。 私はまどかを待たせてはいけないと、そそくさと自分の分の朝食をよそい、いただきますと手を合わせた。 「まどかちゃん、今日は調子良さそう?」 毎朝の人の会話はだいたいここから始まる。まどかの母とうちの母も友人同士で、とても仲が良い。母が昔看護師をしていたこともあって、よく相談に乗っているようだった。 「うん、今日はだいぶ顔色も良かった。朝も一緒に行けるって」 「そう、良かった。じゃあ、しっかり送ってあげるのよ」 「はいはい。」 私はご飯を咀嚼しながら答えた。     
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