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さすが数年来の付き合いだけあって、雄清は俺の言葉に納得した様だった。
「それに」と俺は話を続けた。
「それに?」
「山岳部は廃部寸前で先輩がいないらしい。おそらく新入部員もいないだろう」
雄清は会得したようで「煩雑な人間関係に煩わされる事もないわけだ」と俺の考えを汲んだ。
「そういうこと」
「もう部室には行ったのかい」
「いやこれから行く。そして入部届も出しに行くよ」
「もう書いたのかい」
「ああ」
「珍しく張り切っているじゃないか」
「別に」
俺は席を立ち上がって教室から出る。
この春からめでたく高校生になることができた。この神宮高校は日本有数の工業県、愛知の政令指定都市名古屋に地所を置く県立高校である。
偏差値はそこそこ高く、県随一ではないが、某都の旧帝には二桁の人数が進学するし、医学科進学者数もそこそこ。地元の旧帝には三桁に迫る人数が毎年進学する。歴史も古く、元は藩校だったという。
質実剛健を校訓に掲げ、勉学だけでなく、部活動はもちろん学校祭といった行事も盛んだ。
そういう、伝統の風吹く名門校に俺は進学した。
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