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「なんで、あの娘がいるからかい。綺麗だし良い子そうじゃないか」
綺麗でいい子が入部の条件になると思うのか、こいつは。
「女はうるさい。そしてうるさい女は嫌いだ」
異論は認めんという口調で言う。
これはある意味真理なんじゃないか。
だが雄清はそうは考えていないらしい。
「それは偏見だよ太郎。第一まだ会ったばかりじゃないか。いくら太郎の観察眼が鋭くてもあの娘の人となりを見抜けたとは思えない。まだしばらく様子を見てごらんよ」
様子を見ろって、俺は女そのものが苦手だって言ってんのに。
廊下で話している俺たちが気になったのか、綿貫が近づいてきた。
「深山さんのお友だちですか」
「うん、僕は山本雄清、一年B組、太郎と同じクラスだ」
雄清は親指を立てる。お前は米国の方ですか?
「綿貫さやかです」
彼女は俺にしたように、雄清にもおじぎをした。
「綿貫!これは驚いた」
雄清はひどく驚いた様子で言った。何をそう興奮しているのだろうか。綿貫という名字は確かに珍しいがそんなに驚くことか。それともこいつは有名人なのか。
「綿貫さんてあの綿貫さんだよね」
少々まくしたてるようにして、雄清は綿貫に尋ねた。
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