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あたしの世界
ぐるっとカーテンに囲まれた、ベッド一台分の広さが私だけのスペース。
簡易テーブルと、小さなテレビと冷蔵庫、それだけで成り立っているひとつの世界。
私物を持ち込んでいるため不便はないけど、毎朝起きて目の前に広がる景色がカーテンの中というのも面白みに欠けるものだ。
3日前、突如入院することになった。
別に重い病気などではなく容態が安定するまでの大事をとっての、という感じ。
それでも健康優良児であった私の入院は周りに大きな衝撃を与えたようだ。
それこそ初日はスマホの通知が止まらないほどに連絡が来ていたが、今はそれもほどほどに落ち着いている。
なにせ初めての入院ということで、慣れないことも、知らないことも多かった。
例えばお風呂。
予約制なので、時間は30分という限られた時間の中で髪の毛を乾かすところまで終えなければならない。
幸い、髪の毛をショートにしていたのでそこまで時間はかからないのだが、それでも家のようにのんびり入ることはできない。
普段はめんどくさいと感じることもあった入浴もとても贅沢な時間であったのだな、なんて思ってしまうほどだ。
朝になると食事を自分のところまで運んでもらったり、掃除をしてもらったりと至れり尽くせりで、なんだかいたたまれない気持ちになる。
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