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ウンウン捻らせたところで、結局新作ケーキでも考えるか、クリスマスも近いことだし、と落ち着くのが常で。
どうせなら梗慈に喰わせてやろう、嫌がらせも込めて、なんて物騒な事を考えていると、梗慈の呆れ返った声が聞こえた。
「ダダ漏れや、あほ」
「え? どの辺から」
「まぬけ面。 俺にその嫌がらせの甘い新作ケーキ喰わすにしても、一緒に暮らした方が楽やろう? 毎日でも喰わせられるしな」
「なにそれ、めちゃ美味しい」
「どんだけ喰わせる気や、まったく」
「なんか言ったか?」
「いや?」
「梗慈、全然貫禄ないからなあ、だからいつまでも下っ端なんやって、絶対」
「いや、まあ違うけどそれでええし」
ふんふんと鼻歌交じりな俺を、梗慈は心底馬鹿にしたような目で見ていたけれど、俺は全くめげない。
「で、家どうするよ」
「ん?」
「いや、だから家。 どっちに住むにしても手狭だろ」
「あー、そうだなあ」
「とりあえずどっちかの家に住むとして、年明けたら探しに行くか?」
「ん、わかった。 じゃあ俺とりあえず梗慈のとこに転がり込む」
「俺の所のキッチンは何もないからな」
「運べるもん運ぶからええよ。 俺の所やったら2人住むにはあまりにも狭すぎ。 仕事柄寝に帰るだけやと思って超安い部屋にしたから」
あはは…… と乾いた笑いをこぼす俺に、梗慈は俺の部屋を思い出したのか至極納得と言うような顔をして頷いた。
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